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日本の男性の収入、未婚者と既婚者の間に大きな差

  • 日本の既婚者と未婚者の収入差が最も大きい国である。
  • 今年の上半期の出生数は37万1052人であり、年間で75万人を下回る見通し。
  • 若者の未婚化傾向が少子化の背景にある。
  • 結婚するには経済力が求められ、男性の場合はその影響が大きい。
  • 未婚男性と既婚男性の年収を比較した結果、既婚者の方が収入が高い。
  • 年収300万円未満の未婚者は51%に対し、既婚者は14%である。
  • 年収600万以上の未婚者は7%に対し、既婚者は40%である。
  • 未婚者と既婚者の年収分布の差が大きく、ローレンツ曲線で可視化される。

「男性はカネがなければ結婚できない」日本の時代錯誤のジェンダー観で少子化はさらに進む

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<欧米・韓国など主要7カ国で比較すると、日本は既婚者と未婚者の収入差が最も大きい> 今年の上半期の出生数は37万1052人、年間だと75万人を割るのは確実だ。ここ数年、出生数は毎年2~3万人減っており、2030年には50万人を割ってしまうのではないかと言われている。少子化の勢いはすさまじい。 あまり知られていないが、出産年齢の既婚女性あたりの出生数は変わっていない。少子化には、若者の未婚化傾向が寄与している。昨今の経済事情を考えると、若者が結婚に踏み切りにくくなっていることは容易に理解できる。 結婚をするには、ある程度の経済力を持っていることが求められる。とくに男性はそうだ。その度合いは、未婚男性と既婚男性の収入の差(ズレ)を見てみると分かる。差があるのはどの国でも同じだが、主要先進国と比べて日本はどうか。ISSP(国際社会調査プログラム)が2019年に実施した調査データをもとに、日本の男性の未婚男性と既婚男性の年収を対比すると<表1>のようになる。 サンプルがやや少ないものの、2つのグループでは年収の分布が違っているのが分かる。年収300万円未満の割合は未婚者では51%だが、既婚者では14%。対して年収600万以上は未婚者で7%であるのに対し、既婚者では40%もいる。大きな差だ。 未婚者と既婚者の年収分布のズレがどれほど大きいかは、右欄の累積相対度数をグラフにすることで可視化される。横軸に未婚者、縦軸に既婚者をとった座標上に、14の階層のドットを配置し線でつないだものだ(ローレンツ曲線)。グラフの提示は省くが、曲線の底は深い。 ===== これをもとにジニ係数を算出すると、0.553にもなる(計算の方法については、前回の記事「日本の労働者の収入格差は、今やアメリカよりも大きい」を参照)。偏りが大きいとされる0.4を超えており、未婚男性と既婚男性の年収の違いは相当大きい、ということになる。男性にあっては、結婚に際して経済力がモノをいう度合いが高い、ということだ。 同じ方法により、このジニ係数を主要国について試算してみた。カネがない男性はどれほど結婚しにくいかを測る尺度で、「結婚ジニ係数」と呼ぶことにする。<図1>は、7つの国の数値を棒グラフにしたものだ。 結婚ジニ係数は、比較対象の7つの国では日本が最も高い。カネがない男性は結婚できない度合いが最も大きい。男性が一家を養うべき、というジェンダー観が強いためだろう。女性の側は、結婚すると家事や育児をほぼ一手で担うことになり、収入は大きく目減りする。よって、結婚相手の男性に高い収入を求めざるを得ない。だがこのご時世、そういう男性は少ない。 男女平等が進んでいるスウェーデンでは、結婚ジニ係数は小さい。男性の稼ぎのみに依存するのではなく、夫婦二馬力で生計を立てていく展望が持てるためだろう。ちなみに7つの国の結婚ジニ係数は、2019年頃の合計特殊出生率とマイナスの相関関係にある。 未婚化・少子化の進行は、時代錯誤のジェンダー観が生きながらえていることにもよる。「男は仕事」といっても、男性の腕一本で一家を養える時代ではないし、「女は家庭」という考え方は、結婚による損失(逸失所得)を女性に強く意識させる。 令和の時代の若い男女が、結婚をためらう所以だ。 <資料:「ISSP 2018 – Religion IV」、 「ISSP 2019 – Social Inequality V」> ===== 【関連記事】 日本の労働者の収入格差は、今やアメリカよりも大きい この四半世紀でほぼ倍増した若年世代の税負担率
ソース:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/09/post-102574.php
  1. 日本では、結婚することには一定の経済力が求められるため、若者が結婚に踏み切りにくくなっていることが分かります。特に男性の収入差は顕著であり、未婚男性と既婚男性の年収の分布には大きな差があります。このデータを見ると、結婚によって経済的な安定が得られることが分かりますが、一方で未婚者の経済的な不安定さも浮き彫りになっています。少子化問題と結びつけると、若者の経済的な不安定さが結婚や出産を躊躇させる要因の一つであることがうかがえます。

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