<ロシア国内の空軍基地がまた攻撃を受け、ツポレフ22M3戦略爆撃機が炎に包まれた。しかも、攻撃したウクライナのヘリコプター型攻撃ドローンはロシア国内から飛来しているようだ> ウクライナ国境から数百キロメートル離れたロシアの主要空軍基地で、超音速爆撃機を標的にしたドローン攻撃がおこなわれたことが注目を集めている。この攻撃はロシア領内から仕掛けられた可能性があると、新たな検証で指摘されたからだ。 英国防省が8月22日に発表したところによれば、モスクワとサンクトペテルブルクのあいだ、ウクライナ北部にあるロシアとの国境から約650キロに位置するノブゴロド州のソルツイ2(Soltsy-2)空軍基地で、ロシアのTu-22M3(ツポレフ22M3)爆撃機が破壊された可能性が「きわめて高い」という。 ロシア政府は、モスクワ時間8月19日午前10時ごろ、ウクライナがヘリコプター型無人航空機(UAV)で空軍基地を攻撃したと述べ、航空機1機が損傷を受けたと付け加えた。 英国防省はX(旧ツイッター)への投稿のなかで、この攻撃をヘリコプター型無人航空機(UAV)がおこなったのであれば、「ロシア軍に対する一部のUAV攻撃は、ロシア領内を起点としているとする見方の信憑性が高まる」と述べている。 攻撃はロシア国内から? 英国防省によれば、ヘリコプター型UAVの航続距離では、ロシア国外からソルツイ2空軍基地に到達できない可能性が高いという。ニューズウィークは、ウクライナとロシア両国の国防省にコメントを求めている。 ヘリコプター型ドローンは、ウクライナが重点的に投資している幅広い技術の一つであり、現在では、ウクライナ政府の戦争遂行の取り組みに深く組み込まれている。 注目を集めたいくつかの攻撃では、ロシアが併合したクリミア半島とロシア本土を結ぶ主要な橋や、黒海に位置するロシア軍の海軍基地、ロシアの首都そのものが攻撃用ドローンの標的になっている。ロシア国防省は22日未明、モスクワ上空でウクライナのUAV2機を撃墜したほか、国境付近のブリャンスク州上空でさらにドローン2機を撃墜したと発表した。 ロシア国防省は週末、ノブゴロド州でロシアの複数の超音速爆撃機を攻撃したドローンを「小火器で撃墜した」と述べ、基地で発生した火災は消防隊が鎮火したと続けた。 だが、その後すぐに、少なくとも1機のTu-22M3爆撃機が完全に炎に包まれていることを示す画像が出まわりはじめた。ロシアはTu-22M3爆撃機を、戦争初期のころから使用している。2022年4月におこなわれた港湾都市マウリポリの包囲戦でも、無誘導爆弾の投下にTu-22M3爆撃機が用いられた。また、ウクライナは2023年8月、ソルツイ2空軍基地を拠点とするTu-22M3爆撃機が、ウクライナ領内にKh-22ミサイルを発射したと発表している。 ===== 英国防省によれば、ロシアはTu-22M3爆撃機を、「不正確さで悪名高いKh-22長射程空対艦ミサイルをウクライナに向けて」発射する際にも用いている。 だが、ロシア領内の奥深くで戦闘機が破壊されたことは、戦争がロシア国民の近くに迫っているのに、ロシア政府が空軍基地や戦略的に重要な拠点を守れていないという印象を与える。 英国防省は、「LRA(長距離戦闘機)の飛行場に対する攻撃が成功したのは、今回で少なくとも3回目だ。領内の奥深くに位置する戦略的拠点を防衛するロシアの能力に、またもや疑問符がつけられた」と述べている。過去の攻撃には、サラトフ州の州都サラトフに近いエンゲリス空軍基地を標的にしたものも含まれている。ウクライナの前線から数百キロ離れた同基地は、ロシアの戦略的爆撃機の多くが拠点としている。 ワシントンDCを拠点とする米国のシンクタンク戦争研究所(ISW)は8月20日、ロシア軍に対するとりわけ大きな批判は、影響力の大きいロシアの軍事ブロガーコミュニティから出ていると指摘した。一部の軍事ブロガーは、航空機を格納庫に入れておかなかったことや、ヘリコプター型ドローンの攻撃をかわす「もっとも初歩的な保護設備」やサイバー防御さえ用いていなかったことについてロシア政府を非難しているという。 ロシアのTu-22M3戦略爆撃機2機を破壊、もしくは損傷させたことは、「それだけでは軍事的に大きな影響を与えないだろう」とISWは述べている。「だが、この攻撃に対するロシアの軍事ブロガーの反応は、領内深くへの攻撃には、ロシア国民の士気を大いにくじくと効果があることを示している」 (翻訳:ガリレオ) ===== <画像>ロシア領内からの攻撃か?炎に包まれたTu-22M3爆撃機 Russian channels publish photos of an allegedly burning Tu-22M3 supersonic bomber, reportedly destroyed yesterday by a drone at a military airfield in Soltsy, Novgorod region, Russia.Eyewitnesses reported two aircraft were allegedly struck. One suffered less damage, and the… pic.twitter.com/OA19pTaGJ3— Anton Gerashchenko (@Gerashchenko_en) August 20, 2023 ===== <動画>ウクライナが世界に誇る「ドローン軍」のバンパイア攻撃ドローン Ukrainian-made Vampire drones in action on Bakhmut direction. They hit Russian warehouse and armored combat vehicle. Despite the electronic warfare that tried to shoot them down, our birds returned home. Continue to develop drone production. More to come! pic.twitter.com/TTWl2sm7xI— Mykhailo Fedorov (@FedorovMykhailo) August 21, 2023 ===== <動画>世界中の支援で創設されたドローン軍 ===== <レア動画>ミサイル迎撃に失敗して被弾するロシアの防空ミサイル「TOR(トール)」の内部とみられる映像 Inside view of an active Russian air defense system moments before and after it was hit. Location / date unknown by u/bunsinh in CombatFootage ===== <動画>モスクワ郊外の軍施設から立ち上るキノコ雲、ドローン攻撃の結果とみられる Russian media report a powerful explosion in the
ウクライナのヘリコプター型攻撃ドローンが、ロシアの主要空軍基地であるソルツイ2空軍基地を標的にした可能性が指摘されています。この攻撃はロシア国内から仕掛けられた可能性もあるとされており、注目を集めています。 ウクライナはヘリコプター型ドローンを重点的に投資しており、その技術はウクライナ政府の戦争遂行に深く組み込まれています。過去には、クリミア半島やロシア本土を結ぶ橋やロシアの海軍基地、さらには首都モスクワ自体が攻撃の標的になっていることもありました。 ロシア国防省はこの攻撃に対して、ウクライナのUAVを撃墜したと発表していますが、その後の画像では少なくとも1機のTu-22M3爆撃機が炎に包まれている様子が確認されました。この爆撃機はロシアが長い間使用してきたものであり、過去の戦闘でも投入されていました。 ウクライナのドローン技術の進化や攻撃の影響について、今後の展開が注目されます。